(1):完璧美人と完璧男子
「ともちゃーん!」
朝。キンと耳障りな声を耳がとらえる。…うるせぇ。
「…音璃。おはよ。」
「おはよ!今日から授業だねぇ」
このあほ面は西条音璃。ゆういつの私の過去を知るやつ。まあ、楽だし一緒にいる。
「そんな目しないでよ!せっかくいいメンツ集まってんだよ??」
いいメンツってのが中学の頃有名だった人など集まってるらしいが、正直どうでもいい。というか、私のことがバレないことの方が心配。
「バレないといいけど…」
「大丈夫だよ!私がいるっ!」
校門が見えてきた。やけに張り切る音璃を後目に見ながら私はスイッチを入れた。

キーンコーンカーンコーン
「起立、礼。さようなら」
「さよなら〜」
ようやく終わった…
「ともちゃん、帰ろっか」
「うん」
私はこの世のものとも思えぬ笑顔を作る。そう、ここではこれが私の顔なのだ。
「あ、西条さん、桜庭さん、この後時間ある?みんなでカラオケ行こって話なんだけど」
クラス委員の松本が言った。
「あぁ、ごめんね。私、用事があるんだ」
「そっか、全然!また今度誘うね!」
本当は用事なんてないんだけど。
「あ、音璃良かった?」
「うん!めんどくさいし!」
「そ。」
帰ったらゲーセン行こ。そう思ったら歩く足の速度がなんか早くなった気がした。