「で、おまえは不倫相手にフラれたってわけか」
 「違いますよー!左手の薬指に指輪してるだけで……告白もしてないです」
 「左手の薬指に指輪って結婚しかないじゃねーか」
 「やっぱりそうなんですかね………うぅ………さっきのお酒もう1杯ください」
 「いや、飲み過ぎだ。かなり酔ってるだろ」


 店のスタッフが来たので、男は彩華の話との話しをずっと聞いてくれていた。
 だが、美味しいお酒に酔ってしまったようで、彩華は饒舌になってしまっていた。
 自分でも顔が熱く、体がふわふんしていて酔っているわかっているけれど、恋の話は止めることが出来なかった。


 葵羽の事を相談する相手もいなかったため、彩華は誰かに話を聞いてほしかったのかもしれない。
 そんな風に思いながら、知り合ったばかりの男に話を聞いているが、正論ばかり言われて若干ショックを受けてしまった。