「おまえには助けて貰いっぱなしだな。兄貴の店の事も、俺の漫画の事も………」
 「そんな事ないよ。私がしたいことをしただけだし。それに、私が祈夜と傍に居たいからしたことだから、我が儘みたいだよ」
 「それでもいい。俺が喜んでるんだから」
 「………うん」
 「漫画の次回作、本当は出版社の希望と合わなくて、実現出来るかわからなかったんだ。……けど、さっきのスケッチを見せたり、彩華を描いてる時の感情を漫画にしたら、きっとわかってくれると思うんだ。……そう決意させてくれたのは、彩華を描いたからだ。だから、ありがとう。………俺はおまえと会えて、そして付き合えて、本当に幸せ者だよ」


 そう言って、祈夜は指を絡ませて手を握ってくれる。指輪と指輪が触れ合うのを2人でじっと見つめた。


 「彩華の恋人は俺が最初で最後だから」
 「………祈夜くん。……それって………」
 「右手の薬指に指輪を送ったのは、左手の予約だから。近いうちに、左手の薬指も貰うに行くから」


 その言葉は、彩華を感動させるのには十分すぎるものだった。目に涙が溜まり、あっという間に枕に落ちてしまう。


 「………ずるいよ。………祈夜くんは、クリスマスプレゼント沢山くれすぎたよ」
 「それは俺の方だって………あぁ、でも……」
 「………ぁ」


 祈夜は彩華の方を向き、手を離したかと思うと彩華の首元に顔を埋めて、首筋に噛みつくよつなキスをした。そのまま流れるように顔を耳元に持っていくと、祈夜は低い声で甘いささやきをもらした。


 「じゃあ、俺におまえをちょうだい」


 その願いは彩華も求めていたもの。「そんなものでいいの?」という言葉を言う前に深いキスをされ、彩華と祈夜は2人でもう一度ベットに沈みこんだのだった。