祈夜ルート 6話「嵐の前の静けさ」




 あの日から、祈夜は兄である月夜の店に誘う事はなくなった。
 きっと気を遣ってくれたのだろうのだろうとは彩華もわかっていた。けれど、それで本当に良いのだろうか、と彩華は悩んでいた。

 お客を大切にするのもわかる。月夜さんはお金を貯めてやっと両親から譲り受けたのだ。そして、両親のためにもお店を継続させたいとも願っている。そのためには、きっといざこざを起こしなくないはずだ。
 ホストの頃のお客さんだって、ただ月夜との時間を過ごしたいだけなのだろう。好きな人に会いたいという気持ちは彩華にだってわかる。

 けれど、周りのお客さんはどうだろう。
 居ずらい雰囲気のままでは、きっと店に来たくないと思う人もいるはずだ。


 「はぁー………」


 と、大きなため息をつきながら、彩華は自宅のベットにごろんと横になった。
 この日は仕事が休みだった。残念ながら、祈夜は用事があるらしく会えないのだ。
 そのため、ごろごろとベットに横になりながら月夜の店の事を考えていたのだ。