「葵羽さん、詳しいですね。知らなかったです」
 「水に濡れると閉じてしまうみたいです。開くのには数日かかるみたいですよ。」
 「数日前雨が降ったから閉じていたんですね。じゃあ、子ども達と一緒に開く様子も見れますね」
 「そうですね………そういう事も学びになるんですね。彩華先生と一緒なら、子ども達は毎日楽しいでしょうね。素敵な仕事だと思います」
 「ありがとうございます」


 葵羽はそう言ってニッコリと微笑んでくれる。手に持っていたまだ閉じたままの松ぼっくりを彩華に渡しながら、彩華の事を褒めてくれたのが。
 それがとても嬉しくて彩華は頬を染めながらぎこちなく笑顔を返した。

 関心したように言いながらも、彼にはもう1つ気になることがあるようだった。


 「その彩華先生………神様の人とは……」
 「あ、それはその………すみません」


 不思議そうにする葵羽に彩華は思わず笑ってしまう。確かに神様の人という子どもの表現は独特だろう。気になるのも仕方がない事だ。


 「私が神社には神様がいてみんなを守ってくれてる事とか、葵羽さんはそんな神様のおうちを守ってくれてるんだよって教えたら………あの子どもはそういう風に表現したんだと思います。」
 「そうだったんですか。子どもは面白いですね」
 「えぇ………葵羽さんも子どもお好きなんですね」
 「彩華先生ほどではないかと思いますが、可愛いなと思いますよ」


 葵羽が優しく微笑むと、彩華も自然と微笑んでしまう。葵羽はとてもおっとりとしており、優しい。そんな雰囲気からか子ども達からも人気で特に女の子は大好きだった。
 そんな様子を見て、きっと大人の女性にもモテるんだろうなとも思ってしまうのだった。

 そして、彩華先生と呼ばれるようにもなっていた。子ども達が呼んでいるのを聞いて、名前を覚えてくれたようだったけれど、聞いた時は驚いてしまった。先生はつけなくていいと言ったけれど、葵羽は「彩華先生という響き、可愛いですよね」と言われてしまったら断る事など出来なかった。