次の土曜日。

待ちに待った初デート!!

現在8時50分。

七瀬と洋服選び中です。

「これでいい?華凛」

「う〜ん・・・」

「もっとスポーティーの方がいいんでしょ?」

「うん。ってなんでわかるの?!」

「私も思ったから・・・かな」

さっすが七瀬!!

考え続けて30分。

勝負服(?)って難しいね?

そんなこんなで服が決まったのは9時20分。

選び始めて1時間後の事だった。

走るのだけが苦手で50m走に13秒もかかる且つ体力が普通並の私には待ち合わせギリギリの時間に出発した。





「ヤバイヤバイヤバイ!!!!!遅れる〜!!」

息を切らしながら駅に向かう。

全然見えてこない駅までが果てしなく遠くに感じつつ急ぐ。

「お母さんに送って貰えば良かった!!」

なんと今更な思いつき。

屋根が見えてくると全速力で走ったけど待ち合わせギリギリだったせいかもう既に谷中くんは到着していた。

「谷中くん!!ごめんね、待った?」

「ううん。今来たとこ。華凛時間ピッタリに来たね」

絶対待たせたやつじゃん・・・!!

恥ずかしい〜!!

「ごめんね、ギリギリに出ちゃったから・・・。もっと早く出れば良かった」

「大丈夫。走ってたから疲れたでしょ?お疲れ様」

笑顔で頭ポンポンしてくれた。

・・・王子???あっ学年の王子でした。

電車に無事乗り込み楽しく談笑・・・のはずが・・・。

「華凛の行きたいカフェ遊園地の近くで助かったね」

「うん」

「華凛すごく行きたがってたもんね」

「うん」

「楽しみだね」

「うん」

緊張し過ぎてうんで会話即終了させてます。

どうしよう・・・何話そう・・・。

どうにかして挽回せねば・・・。

そういえば・・・。

「谷中くんって遊園地好きなの?」

これなら長続きする話題のはず!!

「盗み聞きになっちゃったんだけど付き合う前に華凛と石井さんが遊園地好きって言ってて・・・。それで喜んでくれるかなって・・・思いました」

なぜ最後敬語?

にしても。

「私そんな話したっけ?でも遊園地は好き。特に絶叫系。覚えててくれてありがとう」

「前も絶叫系が楽しいって言ってたよ」

・・・・・・。

「記憶力すごっ!!」

「そっち?!引かれちゃうかと思ったんだけど・・・」

「引かないよ!!すごいもん。他に覚えてることは?」

「弟がいて名前はあさひ」

「すご!!」

「華凛、関心するとこじゃないよ。これ全部盗み聞きだから・・・」

「私は些細な事まで覚えててくれて嬉しい」

それに谷中くんのこと少しは知れたし。
私の心は青空の如く澄み切っております。







無事遊園地近くの駅に到着。

「こっから何も考えてないけどどうする?華凛のリクエスト通り行き当たりばったりだけど・・・華凛の好きにしていいよ」

「いいの?・・・だったらお揃いのもの買いたいかな」

「・・・華凛好きな物ひとつ言って」

「?ぬいぐるみ・・・。くまさんのモフモフしてるやつ」

「じゃあぬいぐるみ風キーホルダーのペアルックっていうのはどう?」

「大!!賛!!成!!」

買い物をし終えると11時50分。

谷中くんがリードしてくれてカフェに向かった。



「・・・でねっ!!その足を挫いた時も七瀬が助けてくれたの!!七瀬って力持ちで私をお姫様抱っこしてくれて保健室に運んでくれたんだよ!!七瀬のこと王子様にしか見えなくてめっちゃかっこよかったんだぁ〜!!」

カフェで話に一区切りつくと谷中くんがクスッと笑う。

「なんで笑うの?!」

「だって華凛さっきから石井さんのことしか言ってないよ?しかも言う度に七瀬が、七瀬が〜!!って目キラキラさせて。そこが可愛らしくて。年上の幼なじみのことも教えて?」

「純一のこと?あいつのことはいいの!死ぬ程友達に愚痴ってきたから。今更話したくない!!」

とツンツンしながら谷中くんの可愛らしいのセリフに照れていた。

顔、赤くないかな?

「その愚痴聞いてくれてたの石井さんでしょ?」

「あっわかる?」

「うん。さっきから石井さんばっかりだからね。僕も華凛の王子様になれば夢中になって話してくれる?」

妖艶な目が私を捕らえる。

と共に私の顔が火照り出す。

顔、あっつい!!

「そんなになられても近づきにくいよ〜」

笑顔で言ってみるけど顔が赤いのは誤魔化せなくて・・・。

「でも石井さんは平気でしょ?」

「それは親友だから・・・」

「じゃあ僕は親友以下なんだ?」

「そんな訳ないよ!!七瀬のことは凄く大切だけど谷中くんはもっと大切!!彼氏なんだから!!」

・・・・・私とんでもなく恥ずかしいこと言わなかった?!

顔から火がでる!!

誰か!!墓穴掘る手伝いお願い!!

谷中くんは余裕の笑みを浮かべ撫でながらありがとうって言う。

「・・・わざとでしょ?」

「バレた?・・・ってそんなに怒らないで?」

「別に怒ってないもん。恥ずかしくて・・・」

本当に顔が熱い。谷中くんに見せられない。

「ごめんごめん。ちょっと不安になっちゃって。でもちゃんと大切に思ってくれてるみたいで良かった」

そう安心そうに笑う彼を見ていると憎めなくなってきた。

そして気づいた。不安になるのって女の子たけじゃないんだってこと。

クラスメイトや友達の話聞いてて女の子が不安になるのは想像ついてた。

でも男の子が不安になるなんて中々想像つかなくて・・・。

谷中くんのことも知れた気がしたし良かったかもしれない。




「そろそろ遊園地行こうか」

今は・・・1時半か

「そうだね」





そうして谷中くんのことを沢山知りながらデートという天国は幕を閉じたのだった。