結局できなかった自慢話を純一にしようとそこら辺を歩いていると・・・。

「華凛!!」

この声は・・・!!

私の愛しの王子様の声!!

振り返って見ると思い描いたその人が!!

語尾にハートが付く勢いでその人の名前を呼ぶ。

「七瀬〜〜!!」

「どこ行ってたの?久々の大ニュースなのに!!」

ありゃ???七瀬さんテンション爆アゲですな。

「純一に自慢を・・・」

「そんな事どうでも良くなるよ!!ムースが!!ベリーミックスソースがけのあのムースが!!」

なるほど。

我が高校花香(かこう)生一同皆が一生に一度は食べたいと言っているあのムースの事ならそれはテンション上がるね。

「?まさか・・・廃版?!」

「その逆!!1日販売数増量だよ!!」

「ほんとに?!やった〜!!」

「「きゃ〜!!」」

2人して謎の悲鳴をあげて注目を浴びた後周囲に謝って作戦会議を開いた。






その日の帰り道。

久々に純一と帰っていた。

「ねぇ・・・純一?」

「何だよ・・・」

「七瀬にはするなって言われたんだけど・・・」

「あぁー聞きたくない」

「まだ何も言ってない・・・」

「じゃあ何?」

「ものすっごく自慢したい!!ついでに相談!!」

「だから聞きたくないって言ったのに・・・」

「ダメ?お願い・・・」

「お前その顔わかっててしてる?その顔はズルいだろ・・・」

???

どんな顔?

そんな悪そうな顔してる?

「あーもうっ!!わかったよ!!聞けばいいんだろ!!聞けば!!」

わ〜い!!!

じゃあ今話終わらないから固定電話で・・・純一の家何番だっけ???

SNSの通話機能で・・・って純一の持ってたっけ?

あっれぇ〜???

「SNS交換する?」

純一察してくれました。

「ごめん・・・今持ってないの気づいた」

思わず自分に苦笑してます。

「いいよ。気づくの遅すぎ」

グーで頭コツンってされた。

痛くないけど・・・。

なんか心がフワフワして変な気分。

思わず頭を抑えた。

その夜は宿題の事を忘れて純一に谷中くんが優しすぎるという相談をして終わった。





次の日の昼休み。

純一にお礼言わなきゃ。ということで純一捜索中。

あっいた!!

「純一!!」

純一が頭に?を抱えて振り返る。

「あのね・・・」

「華凛!!」

あっ七瀬・・・。

最近こういう事多いな・・・。

純一に一謝りしてから七瀬の方へ向かう。

「昨日帰り1人だったでしょ?大丈夫だった?」

「純一と帰った。色々相談とか自慢聞いてもらうためにSNS交換したよ」

「・・・・・」

七瀬?なんで黙っちゃうの?

でも次の瞬間にはいつもの笑顔で「そっか」って言ってくれた。





その日の帰り道。

久々に七瀬と帰っていた。

「久しぶりだね〜。こうやって七瀬と2人で帰るの」

思わず少しスキップした。

「ほんとにね。でもそんなに嬉しい?」

「もちろん!!」

「誕生日が近いこともあって余計嬉しそうだね」

「そうだった!!もう2週間後には17か〜。七瀬は次の日だよね?」

「うん。言われるまで忘れてた。」

お互い自分の誕生日は忘れてるくせに親友の誕生日は覚えてるとか流石だね。

「最近、純一くんとも仲良いしそれもあったりして・・・」

「そうかな?まぁ多少は嬉しいかも」

「好きだったりしてね?純一の事」

「・・・ないね!!」

「わかんなくない?気づいたら好きとかあるじゃん?」

「確かにあるけど・・・今は谷中くんが大切だし好きだからそれはないかな・・・」

「あれ?付き合うのってお試しなんでしょ?」

「うん・・・」

「今もそのはずじゃ・・・」

「そうなんだけど・・・」

「じゃあ・・・付き合ってる間に華凛が好きに?」

「うん・・・」

その瞬間七瀬の顔がぱっと明るくなった。

「そうなんだね!!よかった〜!!!じゃあ告白しないとだね!」

「七瀬、気が早いよ・・・!!もうちょっとしてからがいいなって思ってるの」

「どうして?!早くしないと取られるよ?!」

「七瀬、落ち着いて・・・。珍しいね。七瀬が興奮なんて」

「親友が初恋したら誰でも興奮しますよ?!」

「ありがとう。来週の火曜日にしようと思ってて。仮で付き合い始めて丁度2ヶ月だから」

「いいと思うよ」

七瀬やっと冷静さ取り戻してくれた。

そうして2人してルンルンな足取りで帰った。





その夜

「最近話しかけるタイミングにいつも七瀬が声掛けてくれるんだけど・・・偶然だよね?純一」

「知らね。お前何かやらかしたんだろ」

「えっ?!やっぱりそうなのかな?!でも純一の時だけなのはなんで?!」

ただ今純一に相談中です。

「ごめん。冗談を真に受けるほど単純だと思ってなかった」

「純粋って言って??」

「ハイハイ。ほんとに心当たりねぇの?」

「あったらこんな電話しないもん・・・」

「じゃあ直接聞けば?」

「わざとじゃなかったら?」

「『ごめんなさい』」

「その後絶対気まずい」

「そこは友情信じての一択だろ」

「もっといいアドバイス・・・」

「ない」

「えぇ〜・・・どうしても聞かないとダメ?」

「お前がそのままでいいなら聞かなくていいんじゃない?」

・・・そう言われたら。

「聞く。聞きたい」

「そう。頑張れ」

純一なりの応援に勇気をもらうのだった。

「か〜りん!!一緒にお昼どう?」

七瀬からの久々のお昼のお誘い。

いつもなら嬉しいのにな・・・。

「うん。七瀬・・・話したい事があるの。食べてからでいいから聞いてくれる?」

七瀬は何を聞かれるか察したのか少しバツが悪そうに微笑んでいいよと言ってくれた。

中庭のベンチ。

初夏の涼しげな風か吹き抜ける。

ついでに心の雲も吹き飛ばしてくれないかな・・・。

息を少し吸って沈黙を破った。

「七瀬さ・・・最近純一呼ぶの遮ってる?しかもわざと」

七瀬は寂しそうに微笑んでうんと答える。

「いつかバレると思ってた」

「うん。最近気づいた。ねぇ、どうして?」

「純一くんと華凛、最近特に仲良くなりだしたでしょう?だから・・・・・・・・・・怖かった。華凛が取られちゃうって思った。華凛は私のモノじゃないし華凛の居場所は華凛自信で決めるものだっていうのも重々わかってた。けど・・・・・誰かのところに行ったらもう関われないような気がして・・・ごめんね。谷中くんを好きなると思ってなくて・・・でもこんなやり方じゃダメだってわかってた。だけど」

泣きそうになっている七瀬を強く抱き締めた。

「不安にさせてごめんね。怖かったね。でも大丈夫だよ、七瀬。高校卒業しても七瀬が親友って思ってくれてる間はずっと親友だから」

そう言った直後だった。

七瀬の頭が乗っている肩が濡れてきた。

ずっと我慢してたんだよね。

ずっと不安だったんだよね。

毎日不安ばっかで怖かったね。

もう安心していいよ。

そう伝えるが如く七瀬の嗚咽が止むまで背中を撫でていた。





「いや〜まさかそう勘違いされるとはなぁ〜」

一段落して私から話し出す。

「ごめんね?迷惑かけて・・・」

「純一を好きになるとかないのに」

冗談交じりに事実を伝える。

「サラッと笑顔でなんて失礼を・・・」

七瀬も笑ってる。

「華凛」

「ん?」

「私、華凛のこと応援してるから。何時でも頼ってね」

「七瀬・・・ありがと〜!!ならついでに純一の恋のお邪魔を・・・」

「いいよ!!」

「誰が誰の邪魔するって?」

・・・・・。

後ろを振り返ると・・・・・。

出た〜!!

「「純一!!(くん!!)」」

あっ七瀬とハモった。

ていうのはどうでもいい!!

いつからそこに?!

「黙って見守ってりゃ好きになるわけないだの邪魔しろだの良いようにいいやがって・・・いいご身分だなぁ華凛ちゃん?」

怒ってる〜!!

てかほっぺた片手で押さえないで!!

「ごめんにゃひゃい!!」

「石井との件が一件落着したから許してやるよ」

何だかんだいって優しい・・・。

そんな純一の背中を七瀬と微笑ましく見つめるのでした。