「かりーん!!!」

そう呼ぶのは、私、山本華凛|《やまもとかりん》の中学からの親友、石井七瀬|《いしいななせ》。

七瀬の声に驚いて振り向くと「大ニュース!!」と言って駆けてきた。

そして息を切らしながら「購買に限定プリンが並んでたよ。私が見た時にはあと5個だったから急がないと売り切れちゃう!!行こう!!」と言う。

七瀬、いつもは落ち着いてるのにこんなに慌てるなんて珍しい。

いつもはというと優しくて、冷静で、成績優秀。
顔は可愛いというよりかっこいい。
皆の王子様だ。

七瀬の提案に「うん!」と賛成の意を示すと七瀬は「そう言うと思った」と満面の笑み。

その笑顔癒し〜♡

そうして最愛の親友と購買に向かう時だった。
あの悪魔の声がしたのは。

「プリンで釣られるとか華凛はコドモだなー」

この嫌味を含んだこの声は・・・。

もしかしなくても・・・。

振り返って見た視線の先には・・・。

やっぱり・・・!!

「純一!」

森永純一|《もりながじゅんいち》は私の幼馴染。

普段はクールな癖に私には意地悪。根は優しいんだけどね。
歳は1つ上。

皆イケメンだなんて言うけど私からしてあんなの悪魔。

そんな純一の言葉に私は

「ただのプリンじゃないもん!限定のプリンだもん!」と歯向かう。

「限定のどこがいいんだよ?数少ねぇだけでどれも同じだろ」

はぁ〜。

純一はわかってないなぁ。

限定の素晴らしさを。

「限定だからおいしいの!」

我ながらドヤ顔で答える。

「それ、限定って聞いたから美味く感じるだけで実際味は一緒だろ」

「・・・」

言い返せなかった。

でもその通りとは言いたくない。

「行こう!七瀬」

「はいはい、今日も負けたね。口喧嘩」

「いいの!あんな奴にむきになってた訳じゃないし!」

そう言いながら購買への道を急ぐ

もうっ!!!あんな奴大っ嫌い!!

いつもいる人でもこうも違うとは!!

純一には七瀬を見習って欲しい毎日です。