個室の扉を閉め、カギをかけた。
扉に体を預けると、
金属独特の冷たさのせいで
シャツ越しに
背中がヒヤリと冷えてくる。

ポニーテールの女子は
なっちゃんのことを「ななりん」
と呼んでいた。

もう一人の女子は
「七ちゃん」って呼んでた。

それに、なっちゃん自身は
ポニーテールの子に対して
「みっちゃん」と呼んでた。

私がなっちゃんに出会ったのは
この中学だ。
それに、今は秋だから
つい最近のことに過ぎない。

でも、あの女子たちは違う。
幼稚園で会ったことがあるんだ。
私とは、違うんだ。

私の友達はなっちゃん、
ただ一人だった。
だから、なっちゃんも
私だけが友達なんだろう
と思っていた。

でも、それは違うんだ。
そう思っていたのは
私だけなんだ。

深く考えれば考えるほど、
涙が出てくる。
嗚咽が触れそうになる
口元を必死に抑えた。

声にならない辛さが
体を押し潰そうとしてくる。
辛いよ。苦しいよ。

どれだけ泣いたか分からないほど
泣き終わって、個室から出ると
トイレの鏡にたまたま自分の顔が写った。

はぁ……。
私って何回泣いたらいいんだろ。

何回も泣けば、強くなる。成長する。
そんな言葉をどこかで聞いたけれど、
嘘なんじゃないのかな……。