次の日

朝起きると、なんだか息が苦しかった。思わずため息を吐いてしまう。昨日の出来事は思いのほか精神的にきてるようで、それが体に現れてしまっているようだ。発作が起きそうで、嫌な予感がする。とりあえず、入学式の次の日で学校を休みたくないので準備して家を出た。

徒歩5分のはずが、すごく遠くに感じる。息切れが酷いせいで倍くらいの時間がかかってしまっているのだ。早めに家を出ていて本当に良かった。駅に着いて電車を待っている間に息を整える。胸のあたりからなんとなくゼェゼェという音が聞こえている気がして、早めに吸入をしておく。そんなことをしている間に、電車が来てしまった。まだ動くにはしんどくて、時間にも余裕があることから、見逃す事にした。各駅停車しか止まらないような駅なだけあって人が少ないため、静かである。駅のベンチに座っていると、さっき起きたばかりなのに眠気が襲ってきた。呼吸が苦しい中歩いたからだろうか、それとも、考えすぎてよく眠れなかったからだろうか。しばらくぼーっとしていると、何人かの男子学生の声が近づいてきたことで、意識が現実に引き戻される。ハッとして辺りを見渡すと、そこには蓮がいた。一瞬目があったような気もするが、気のせいかもしれない。なんとなく気まずくて顔を背ける。どれぐらい時間が経っていたのだろうか、時計を見るとそろそろ向かわないと間に合わない時間になっていた。丁度来た電車に乗り込む。急いで近くのドアから乗ると、男子グループと同じ車両に乗ってしまった。朝の通勤の時間なので座席が埋まっているのは仕方ない。まだ少しだけヒューという音が聞こえてくる胸を押さえて、呼吸を落ち着かせる。大丈夫、やっていけると自分を励まして、苦しさにも気づかないふりをする。駅について学校へ向かうとギリギリだった。