高校の入学式の日

 朝目覚めると、暖かい日差しが差し込む、まさに、入学式にはうってつけな日であった。真新しい制服を着ると、高校生なんなだなと徐々に実感してくる。いつも通り、朝ごはんを食べて家を出る準備をする。
(お母さん、私も高校生になったよ。)
心の中で呟く。

 澪の両親は小学生の時に離婚しており、その後は母が一人で育ててくれた。しかし、2年前、交通事故でこの世を去った。祖父母は既に亡くなってしまっており、親戚に引き取られた澪だが、どうしても埋まらない親戚家族との距離感に辛くなり、他県の高校に行きたいから一人暮らしをしたいと申し出ると、快く送り出してくれた。お金のことは自分でもどうしようも出来なかったので、(特待生での入学で授業料などは無料になったので、生活費だけだが)こうして金銭面から支援してくれるだけでも感謝である。

 こうして、澪は一人暮らしを始めた。高校は電車で2つ隣の駅の場所にあるくらい近い。出来るだけ交通費を抑えたいので自転車で行きたいところだが、持病がそうはさせてくれない。小さい頃から重めの喘息を持っているのだ。体育でさえ制限されてしまうので、自転車通いは無理だろう。
のんびりと準備していると、家を出る時間になった。