幼なじみの不器用な愛情

「隆弘、これ華ちゃんにもって行って。」
久しぶりに母から華の家にお使いを頼まれた隆弘は渋々華の家に向かった。

隆弘は試験勉強が忙しく結局バイトもほとんど入れてはいない。
気を使って母もしばらく隆弘には華の家へのお使いも頼んでいなかった。

華とは数回姿を見かける程度で、バイトで一緒になっても話をする余裕すらなかった。

「冷たくして食べてって言ってね。じゃあ母さん出かけるから。」
「ん」
「またあんたは。そんなんで先生になんてなれないわよ?」
「ん」
隆弘は母にそっけない返事をして、おかずを持ち華の家に向かった。

玄関の鏡で身だしなみを確認してしまう自分に何してんだよと突っ込みながら玄関を出た。

久しぶりに玄関のチャイムを鳴らす。
珍しく華は家にいてすぐに玄関を開けた。
玄関があく前にガチャリと鍵を開ける音が聞こえた。