幼なじみの不器用な愛情

一生懸命な彼女に心がずきんと痛む。
華に自分の気持ちをまっすぐにぶつけることのできない隆弘にとって、彼女の勇気がうらやましくもあり、気持ちが分かるからこそ簡単に断るのは申し訳ない気持ちになった。
「連絡先の交換だけなら・・・」
結局はっきりと断ることができなかった。

隆弘は高校生の時に彼女がいた。
でもそれは華を忘れるためでもあった。目の前で自分以外の男と手をつなぎ歩く彼女を見るのがつらくてどうにかして自分の気持ちを断ち切りたかった。
でもそんなことをしても華をあきらめられないとわかった時、相手にも申し訳ないと彼女と別れた。その後彼女は作らないと決めている。

「いいんですか！」
笹本の顔がぱっと明るくなる。
変な希望をもたせてしまったかもしれないと隆弘は後悔する。

結局、笹本と連絡先を交換することになり、二人で携帯の画面を見せあっていると
「隆弘！」と声をかけられた。
最悪だ・・・