幼なじみの不器用な愛情

教員採用試験は5月に出願が始まる。試験は数回に分かれて行われて面接や小論文、模擬試験もある。試験は夏と秋。隆弘は華のことも気になるが自分の将来とも向き合う大切な時期だった。

あっという間に出願の時期が来て隆弘は毎日のように大学へ行っていた。
忙しい期間がくると華のことを考えずにすむ。願書の提出に向けて準備をするために大学へ行くと4年生はそれぞれ就職活動が忙しく、慌ただしかった。
ふと華は将来どうするのかと気になる。
「伊崎先輩」
その時バスケ部の後輩の女子に声をかけられた。
「ん?」
「ちょっとお話いいですか?」
「あぁ。」
何となくこれから言われることが隆弘には想像がついた。
確か・・・笹本・・・だったかな・・・名前。
「あの・・・」
真っ赤な顔をしてうつむく後輩に隆弘はやっぱり・・・と思う。
「ずっと先輩が好きでした。」
「・・・」
「私なんて先輩には不釣り合いですけど、それでもやっぱり好きです。もしも私に少しでも可能性があるなら、連絡先交換させてください。」