「あーもう食えない!」
隆弘は車の席を少し倒して背伸びしていた。
「私も。胃袋が爆発しそう。」
ひとつひとつ丁寧に一生懸命作られた食事はかなりの量だった。それでも残すのが申し訳なくて二人は完食した。
「俺1.5人前は食べたぞ?」
「ありがとう。」
結局華は全部は食べられず、隆弘が必死に華の分も食べた。
「次くるときは修行してからだな。」
「ふふっ」
そんなやり取りを楽しみながら二人は車の窓から空を見上げる。

「あったかかったね。」
「あぁ。来てよかった。」
「うん。」
「いつか俺たちもあんな風になれたらいいな。」
「うん。」
隆弘がそっと華の手を握る。