幼なじみの不器用な愛情

「おいっ!!」
突然、華の体から力が抜けて隆弘は慌てて抱き留めた。
「華っ?」
その顔を覗き込むと真っ青なことが分かる。
体もかなり冷たい。
隆弘は華の体を抱き上げると自分の実家のチャイムを鳴らした。

「華ちゃんっ!?」
隆弘の母は華がぐったりとしている姿を見て慌ててリビングへ隆弘を通した。
隆弘は実家のソファに華を寝かせると母に何か体にかけるものを持ってくるように言う。
そして温かい飲み物を作り華の元へ持ってきた。

「大丈夫?貧血かしら。あんた無理に連れまわしたんじゃないの?」
隆弘の母が温かい飲み物を華の背中を支えて飲ませようとしている息子に険しい表情を向ける。
「すみません。久しぶりにお会いするのにこんなで・・・」
華が申し訳なさそうに隆弘の母を見る。
すると隆弘の母は息子を押しのけて華の体を抱きしめた。

隆弘と似ているぬくもりの母に抱きしめられて再び華の瞳から涙があふれる。