幼なじみの不器用な愛情

「家庭の事情で皆さんにすごくご迷惑をおかけする形で引っ越しをした私ですが、今は花屋のスタッフとして働いています。皆さんにご迷惑をおかけした分も、私なりに努力してここまで来ることができました。ここで働かせていただいた経験が今の私をつくっているといっても過言ではありません。本当にここで働けて良かったと思っています。だからこそ、お世話になった皆さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。もう一度言わせてください。店長、みなさん、本当にごめんなさい」
華が頭を深々と下げる。
「いいんだよ。」「気にしない」「もう、時効でしょ~」
みんなから華に温かい言葉が贈られる。
その言葉の温かさに華は再び顔をくしゃくしゃにして泣き出した。
そんな華の肩を隆弘が抱く。
華は隆弘の胸に泣き顔を隠して泣いた。
「お熱いね~二人とも。」
冷やかしながら店長が次々に料理を運んでくる。
「今日は実は貸し切りなんだ。俺からのみんなの卒業祝いだから、いっぱい食べてくれよ~」
店長は華や隆弘の好物をどんどんとテーブルへ並べてくれた。
ほかの元アルバイトの店員たちも高校や大学を卒業してみなやめているため、懐かしのメンバーがそろったお祝いにと店長からのサプライズだった。