幼なじみの不器用な愛情

「最初はカフェでいいか?」
「・・・うん」
カフェまでは車で1時間ほどだ。華が不安そうな顔になると隆弘は左手で華の手を握った。
何も言わなくても”大丈夫”と伝わってくる。


勝手な辞め方をしてしまったあと、店長とはいろいろな手続きの関係で連絡を数回とった。それきり、会ってはいない。元から店長以外はアルバイトが中心だったスタッフ。もう華が知っている人はいないだろうと思っていた。どれでも店長にもう一度、ちゃんとあって謝りたいと華はずっと思っていた。

華の気持ちを知っていた隆弘が今回の日程を決めるときにカフェへ行くことを提案してくれた。

華の冷たい手を隆弘はずっと握り続けてくれていた。


そして、カフェの駐車場に隆弘が車を停めた。
駐車場には数台の車が停まっている。