幼なじみの不器用な愛情

「だって、私に声かけるの緊張したでしょ?それでも声をかけてくれたんだもん。教えるよ?」
華がその生徒に微笑むと再びその男子生徒は耳まで真っ赤にした。

「お前、少しは慎重に連絡先、教えろよ。」
男子生徒に手を振っていると後ろから声がかかった。
「隆弘・・・。昨日はありがとうね」
「おう。お前にプレゼント。」
そういうと隆弘は自分のカバンから紙を出した。
『鍵!!』そう書かれた紙に華が笑う。
「カギは絶対にかけろ。わかったか?」
「はい。」
隆弘は華にそういうとすぐに華とは違う方向に歩き出し去って行った。

華はその後ろ姿を見送る。

華はふと思い出していた。高校生の頃、隆弘が彼女と二人で手をつなぎ帰る後ろ姿を見送ったことを。今は隆弘は一人。でもすぐにまた隆弘の隣をほかの人が歩く・・・。

それでも自分の気持ちは言えない・・・。