朝早く、そっと恵梨佳さんの寝顔を見て、僕は彼女の部屋を出た。
後悔や罪悪感は不思議となかった。
むしろ僕が今まで縛られていた何かの糸が、ほどけたような気がした。

これでいいんだ……。

一つ前に歩もう。
もう一歩、そしてもう一歩。

表向きには納得していた。
美野里の気持ちを。
そして彼女が僕を振り切ってまで進んだ自分の道を。その道を僕も進もうと決めたことで、美野里への想いに踏ん切りをつけたはずだった。

でも、僕は今まで自分からその道に、この足を自ら歩ませようとはしてはしていなかったんだ。

朝の陽の光が僕を包み込んだ。