部屋の中のものは勝手に触ってはいけないし、あんまり詮索するのも気が引ける。
だが、僕はあるフォトフレームに映る二人の姿にくぎ付けになった。
何となくだったが、恵梨佳さんと支配人の関係に仕事以外の何かを感じていた。
そしてその感情は、今日の出来事でも何かを感じさせていた。
それがこのフォトフレームに映った二人の姿を見て確信した。
恵梨佳さんと支配人は付き合っている……。
年は離れているが、この写真に映る二人の表情は幸せそうに微笑み映っていた。
「見つかっちゃった」
僕の後ろから恵梨佳さんが小さな声で言った。
「すみません。つい目にしたもので」
「別にいいのよ。亜崎君には知ってもらいたかったのもあったから」
僕に知ってもらいたかった? それはどういう事なんだろう。
「ねぇ、そのビール私にもくれる」
僕の飲みかけのビールを彼女は手にとり、そまま口をつけて喉に流し込んだ。
「亜崎君の味がする」
「え、そんな」
「嘘よ……、ようやくさっぱりとした感じ」
まだ乾ききらない髪が彼女の顔を覆い隠す。
「私ねぇ、この人と来年結婚するんだ」

