「……お互いの気持ちがその目標に本当に人生をかけたいという想いを僕らはあの時わかったんです。それに彼女の方がその想いが僕には到底及ばないくらい強い想いだったから。……、彼女は生まれながらにして、言葉を、話すことが出来ないという障害を持っていたんです。それでも、その障害を彼女は自分から真正面に受け止め、絶対に負けないという強い意志が僕には十分につたわっていた。だから僕らは半端な気持ちでその目標を夢で終わらせるわけにはいかなかったんです」
少し酒の力を借りたせいか、熱く語ってしまった。
恵梨佳さんは、下を少し俯いて
「すごいね。立派だよ君は、亜崎君。私なんかとは全然違うんだもん」
そんな言葉があの恵梨佳さんから、出てくるとは思いもしなかった。
「私はあなたが想像するような清楚な女じゃない。昔の私はボロボロだった。ただのぼろ雑巾だった」

