「だから恵梨佳さん、そんなんじゃないですって。ただ……」
「ただ?」
「……、高校時代に付き合っていた彼女によく似ていたんです。僕もびっくりするほど」
「なるほど、それで昔の彼女のことを思い出していたというわけか」
「そう言われると否定はできませんけどね」
「それでその彼女とはどうして別れちゃったの? 喧嘩別れ?」
「えーと……、なんていうか。お互いの進むべく道に向かって歩み出した結果そうなったと言うか。喧嘩別れとか嫌いになって別れたとかというのとは違うんです」
「何か複雑そうね」
僕らはジョッキのビールをアッという間に飲み干して、2杯目のを注文していた。
「でもさぁ、人との出会いって不思議なものよね。そして出会いがあれば必ず別れがその時から始まる。亜崎君は彼女と別れたことに納得しているの?」
美野里と別れたことに納得しているのか? その恵梨佳さんの問に答えを出すことはできないでいた。
「やっぱりどこかに未練があるんだ」
「未練かぁ、無いと言ったら嘘になりますね。それでも僕ら二人の目標のためにはどうしてもこうなることが運命づけられていたのかもしれません」
「んー、ところでさぁ、その亜崎君の言うその目標って何なの?」

