病院を出て駅に向かい、僕らは電車に乗った。恵梨佳さんが住んでいる街は、僕がいつも向かう大学の方向とは逆の方向だった。2つ目の駅で僕らは電車を降り、駅前の居酒屋の戸を開いた。
「いらっしゃ!」と威勢のいい店員の声が聞こえてくる。
「お二人様ですか?」
「はい」
と、案内されたのは、こじんまりと間仕切りで仕切られた小部屋の様な感じの所だった。カップルと思われ、この場所に案内されたのかもしれない。
テーブルの下は掘りごたつの様になっていて、まるで椅子にでも座っているような感じでくつろげた。