あたしはサブバッグから包みを取り出し、押しつけるように高岡に渡す。
「これあげる!」
「何?」
「えっと、ほら……そう。ポッキーの日から1日過ぎちゃったから、おまけ!」
「開けていい?」
意外とすんなり受け取ってくれた高岡は、あたしが頷くのと同時に包みのリボンを外した。
そして、中を覗き込む。
「なぁ、美波。これ、ほんとにおまけ?」
おまけという軽い言葉の勢いのまま受け取ってもらえたらと思ったけれど、そう簡単にはいかないらしい。
突っ返される覚悟で正直に答える。
「……ううん。ほんとはこっちが本物……」
「ふーん」
これといって反応を見せない高岡は、包みの中に入っている大容量の巾着袋を取り出し、裏表したり中を覗き込んだりしながらじいっと見つめる。
そして、「でかいな」と笑った。
その笑顔に、もしかしたら受け取ってくれるかもしれないという想いが生まれ、昨日からずっと言いたかった言葉を伝える。
「あのね、高岡。1日遅れちゃったけど、お誕生日おめでとう、ございます」
高岡はあたしがこういうものを作ることが好きなことを知っているから、手作りだと気づいているはずだ。
付き合ってもいないのに手作りのものをプレゼントするなんて重いよね?
でもいつだったか、部活用のジャージを入れるバッグが欲しいと言っていて、これなら受け取ってくれるかもと思って作ったのだ。
でも、やっぱりそううまくは受け取ってもらえないよね……。
買ったものをプレゼントするほうがまだマシだったかも……。
不安はすぐに膨らんで、今すぐにでもあたしがしてしまった行動を巻き戻したくなった。

