おまけ。


3回目のデートの日。

少し離れた場所にあるライトアップされたタワーが目に映る。
楽しく過ごした1日も終わりが近づき、辺りは薄暗くなった。

大きくて長い手の指があたしの手に絡む。
身長差を縮めるように、高岡は上半身を屈め、あたしの顔を覗き込んだ。

「チューするの、初めて?」

「……当たり前だよ」

「やった。俺も初めて」

「……嘘でしょ?」

17歳にもなって、この高岡がファーストキスを残しているとは思えない。

「ほんと。美波のために取っておいたんだって思う」

「なんか、その言葉はうさんくさい……」

「なんで素直に受け取らないかな。そんなかわいくないことを言う口は塞がないとな」

「……」

優しく微笑んで近づいてくる高岡を見つめながらゆっくり目を閉じると、高岡の柔らかい唇があたしにそっと触れた。

ほんの少し触れただけなのに、好き、という気持ちが増した。

すぐに唇は離れ、高岡は「やっとキスできた」と嬉しそうに笑い、あたしたちのおでこ同士をぶつける。

「美波、すげえ好き。ずっと一緒にいような」

……ねえ、それは本音?

やっぱり疑ってしまって中身もかわいくないあたしは、高岡を見つめてドキドキしながらそんなことを思う。