Dangerous boy

「部長とは?」

「してません。」

私は資料を、棚に戻した。

「なーんだ。」

振り返って席に戻ると、環奈は部長の方を見ていた。


「なに?まさか、部長とそう言う関係になりたいの?」

「ん?まあ、一度相性を確かめてみて、合うようだったら付き合ってもいいかな。」

私には、環奈の基準が分からない。


そして頭の中に、嫌な考えが浮かんだ。

環奈は、尚太君の事を好きだった。

もし、環奈と尚太君がそう言う関係なら?


「あのさ……環奈。」

「ん?」

頬杖をついた環奈は、そう言う話をしても、全く動じないタイプに見えた。

「……尚太君と、したの?」

「うーん……1度だけね。」


その瞬間、目の前が暗くなった。

周りの音も聞こえない。

途端に、女の艶めかしい吐息と、それを受け入れる尚太君の姿が、浮かんでは消え、浮かんでは消えた。


「心?」

環奈に呼ばれ、やっと現実に戻ってきた。