Dangerous boy

なぜだろう。

私には、彼女の気持ちが分かるような気がした。


「……お釣りは、尚太君にあげるとか。」

「はあ?くれるんだったら、もっと大きな札がいいよ。」

そんな尚太君を見ながら、私も音緒さんのように、頬杖をついて足を組んでみた。

「それとも……レジを開けて、お釣りを見る度に、自分を思い出してほしいとか。」

尚太君は、透明な袋をレジに戻すと、その中に入っているお釣りを、じーっと見つめた。

「音緒さんは、そんないじらしい人じゃないよ。」

「そうかな。」

「そうだよ。」

尚太君は、レジを思い切り閉めた。


その時、またお店のドアが開いた。

「尚太君!来たよ。」

「ああ、有難う。」

すると尚太君は、私の耳元で囁いた。

「大学の同級生。売上足らないって言ったら、協力してくれるって。」

私は、思わず振り返った。

「大学……行ったの?」

「たまにはね。留年はやっぱ嫌だし。」