Dangerous boy

その瞬間、環奈の事が頭の中に浮かんだ。

- 好きなままで、いてもいい? -

- いいよ。 -


尚太君は、私が想像する以上に、女性に寛容なのかもしれない。

と、同時にそれは、誰も悲しませたくないと言う偽善の塊のように思えた。


「ああ、私。余計な事、言っちゃったかな。」

「だから、それ以上言うなって、止めただろう。」

呆れて尚太君は、キッチンの方へ行ってしまった。

「ごめんね。」

音緒さんは、私にも誤ってくれた。

「いいえ。」

今は、私が彼女だ。

しかも、音緒さんが成れなかった彼女。


「でもさぁ。それが尚太なんだよね。」

音緒さんは、キッチンにいる尚太君を見ながら、そんな風に呟いた。

「私もさぁ、そんなのあり?って、それって彼女と何が違うの?って思ったけれど、尚太の優しさは皆の物なんだよ。」

「皆の……物……」

女だったら、自分以外の女に優しくしている彼氏なんて、嫉妬以外の何物でもないけど。