そんな子猫みたいな表情に、私の足は、お店に向く。

階段を昇る尚太君の足取りは軽く、私もそれに合わせて、軽くステップを踏む。

「なんか、この土日は心に会えて、楽しかったな。」

「来週も来る?」

「ぜひ、そうして。」

しがない毎日に、楽しみが増えた。


「はい、どうぞ。」

尚太君がお店のドアを、開けてくれた。

すると、カウンターの席から、女の人がこっちに向かって、手を振っていた。

「はーい!尚太~!」

「音緒さん……」

私は、その場で立ち尽くした。

この女の人、いつか尚太君と、腕を組んでお店に来た人だ。


「来てたんだ。」

「なあに?その冷たい言い方。いつ来てもいいって言ってたのは、どちら様?」

頬杖をついて、足を組んで、大人の女性って感じがする。


「心、こっち。」

尚太君が私を呼ぶと、ようやく音緒さんも、私に気づく。

「あれ?この前、お店にいた子だ。」