Dangerous boy

尚太君は、近くのカゴから、大きなオレンジを取り出した。

「いいオレンジが入ったんだ。これを絞るよ。」

「新鮮な生ジュースね。」

「うん。」

前のめりになった私に、尚太君は楽しそうに、オレンジを切り始めた。

やがて、目の前でオレンジ果汁を絞ってくれて、それで作ったカシスオレンジを、出してくれた。

「美味しい!」

やっぱりだけど、今絞ったばかりの、果汁で作ったカクテルは想像を超える。


「本当はさ……来ないんじゃないのかなって、思ってたんだ。」

尚太君が、小さい声で囁く。

「でも、来てくれてよかった。会えて嬉しい。」

胸がドキンっとする。

これだ。

私が尚太君に会いたくて、たまらなくなるのは。


「食べ物は?」

「……尚太君のおすすめがいいな。」

「よし!クリームチーズは?」

「食べられる。」

「いいね。新鮮な物が入ったんだ。」

尚太君は早速、キッチンの方へ、それを伝えに行く。