Dangerous boy

次の日。

会社に出社しても、環奈は一度も、私の席を訪れる事はなかった。

明らかに、環奈と私の間には、何かあったのだと言う空気が、オフィスの中に流れる。

そのくらい、私と環奈の仲の良さは、知られていたのに。


お昼休憩中、コンビニに行こうとして、エレベーターに乗った時だ。

一人の男性が、追いかけて来て、慌ててエレベータの中に入った。

「高藤部長!」

今一番会いたくない人なのに。

私は無意識に、胸元を腕で隠した。


「そう、警戒するな。もう何もしないよ。」

そう言って、両手を上げる部長。

「と言っても、エレベータの中でも、襲いそうになった事はあるか。」

私は、部長を睨みつけた。

「はい。睨む顔も可愛いから、許す。」

思わずクスッと笑ってくれて、私は慌てて口元を手で覆った。


「おっ、笑ってくれた。」

そう言う部長も、一緒に笑顔になってくれた。