Dangerous boy

「心ちゃん。今日は一旦、帰った方がいい。」

「えっ?」

「……心ちゃん。今日は、いろんな事あり過ぎだ。顔が疲れてる。」

私は、自分の手で頬を触った。

「なっ。悪い事は言わない。今日は家に帰りな。」

私は、頷いた。


小暮さんが気を利かせてくれて、私のバッグを持って来てくれた。

カウンターでは、尚太君が環奈をなだめている。

「数日経ったら、またおいで。」

「……はい。」

私は小暮さんにお礼を言って、家に向かった。


公園の上には、ぽっかりと月が浮かんでいる。

ただ、尚太君を好きになっただけなのに。

いろんな事が、頭の中を横切る。

部長の事。

環奈の事。

いっそ誰も傷つかない方法を、教えてほしいと思った。


「そんなのないって、分かってるんだけどね。」

今こそ泣きたいのに、涙も枯れてしまったようだ。