Dangerous boy

環奈が私を、手招きする。

息を飲んで、ゆっくりと環奈に近づく。

そんな私を、尚太君も見ていた。


「隣に座ったら?」

「うん。じゃあ、お言葉に甘えて……」

私は、環奈の横に座らせてもらった。

「どうしたの?今日。心、この店来た事ないって、言ってなかった?」

ズキッと、胸が痛くなる。

「心?」

環奈に顔を覗かれて、無意識に頷く。

「ああ、一度部長に連れて来て貰った事があって……」

「そうなんだ。このバーテンは、知ってる?」

私は、尚太君をちらっと見た。

「うん……宮島……尚太君でしょ?」

「そう。」

環奈はペロッと、舌を出した。


「イイ男でしょ?」

「……うん。」

環奈は、元好きだった人を、私に紹介できた事が、嬉しいのかずっとニコニコ笑っている。

「と、言っても惚れちゃダメだよ。ねえ、尚太。」

環奈は調子に乗って、尚太君に同意を求めた。