Dangerous boy

私は尚太君と、目を合わせた。

「本当に？」

「ああ。」

深呼吸を一度だけして、私は唇を舐めた。


「……車に乗せられて、押し倒された。」

その瞬間、尚太君は私の手を放し、立ち上がると部屋から出て行こうとした。

「尚太君！」

急に起き上がると、貧血で目の前の世界で、フワッと回った。

「誰か！誰か、尚太君を止めて！」


私の声を聞きつけたのか、オーナーの小暮さんが、尚太君を部屋の中に、押し込んだ。

「何やってんだ、尚太！落ち着け！」

「これが落ち着いてられるか！」

尚太君は、小暮さん相手に、興奮している。

「何があったかは知らないが、心ちゃんが不安がってるだろう。」

尚太君は、少し起き上がろうとしている私を見ると、頭を激しく横に振った。


「じゃあ、あんたは！紗和子さんが、誰かに押し倒されても、落ち着いていられるのかよ！」

その時出てきた”紗和子さん”と言う名前に、私の顔が歪む。