Dangerous boy

目を覚ました時、私はどこか建物中にある一室の、長椅子に横たわっていた。

「心、気がついた?」

声のする方を向くと、尚太君が、私の手を握ってくれていた。

「尚太君……」

「よかった。心、気が付いて。」

「ここ、どこ?」

私は顔を押さえながら、起き上がろうとした。


「まだ、横になっていた方がいいよ、心。」

尚太君は、私の肩を掴んで、もう一度長椅子に、横たわらせた。

「ここは店の中にある、従業員の休憩室。心、外で倒れたんだ。」

「そうだったんだ……」

意識が遠のいてから、記憶がない。


「何が、あった?」

尚太君は低い声で、私に聞いてきた。

「車に連れ込まれそうになって、何された?」

私の手を、ぎゅうっと握ってくれている尚太君は、怒りを押し殺そうしているように見えた。

「……言わない。言ったら、尚太君……その人、殴りそうだもん。」

「そんな事、しないよ。」