「じゃあ、部長は!そこまで尚太君の事を、知ってるって言うんですか!」

「倉本……」

「実際、尚太君に騙された事があるって言うんですか!ないくせに、人から聞いた話で、勝手に尚太君を、悪者扱いにしないでください!」

私は大声で叫んで、店の中に入ろうと、走り始めた。


「倉本!」

だけど、男の人の力の方が、強い訳で。

私はあっさりと、部長に捕まってしまった。

「俺は、おまえが心配なんだよ!」

耳元で、部長の温もりを感じる。

「分かるだろう?好きな女が、悪い男に騙されようとしてるのに、黙ってる男なんて、いるかよ!」

部長はそう言うと、私をぎゅっと、抱きしめた。


「放して下さい。」

「放さない。」

私の頬に、部長の唇が重なる。

「お願いです!」

「ダメだ!」

部長の私を抱きしめる力が、もっと強くなる。


「店には、行きませんから!」

「ウソだ。」

「本当です!」