途端に後ろがガヤガヤとうるさくなる。

「山本だ。」
「准弥君だ。」

所々から彼の名が聞こえる。


人混みの中からでも簡単に長身の彼は見つけることが出来た。

―有名人みたい……。
そんなことを思いながら彼を見ていると、ふと目が合った。

「慧莉っ!」
彼がそう叫び、いきなり人混みの中を掻き分け、近付いてくる。

―!?


「慧莉、呼ばれてるよ?」

そう一葉が言った時にはすでに慧莉は隣にいなかった。