職員室の前で山本君がピタッと立ち止まる。

「今日の授業分だけノートのコピーしてくる。速水さんは宿題を。」

山本君は鞄から数冊ノートを取りだし、職員室の隣のコピー室に入る。

私は鞄を入り口に置き、職員室へ入った。

「先生、織原 慧莉の宿題をください。渡しておきます。」

椅子に座って、パソコンに向かい合って右手でマウスを操作しつつ、珈琲を飲んでいた担任に声をかけた。

担任は珈琲を机に置き、空いた左手でパソコンの左に置いてあった紙を私に渡した。

「よろしくな。」

担任はそれだけを言うと再び珈琲を持った。

「はい。」

私は職員室を出る。
扉の横には山本君がコピーを終えた様で、クリアファイルを持ち、立っていた。

私は先生から渡された宿題のプリントを渡すと山本君はそれもクリアファイルへ入れた。

再び山本君はゆっくり歩きだし、私は後を着いていく。