ガチャ、という音で慧莉は目が覚める。

「ただいま。」

―沙由さんだ！

慧莉は一気に階段を下りる。

「おかえりなさい。」

沙由さんは笑って、今から夕食作るね、とキッチンへ向かった。

いつのまにか20時になっていた。
外は夏であろうと流石に暗い。

沙由さんの後を慧莉はついていく。

「手伝います。」

沙由さんは冷蔵庫から取り出した人参を渡した。

「皮を剥いて、切ってくれる？」
「はいっ！」

包丁で人参の皮を剥いていると隣では沙由さんが玉ねぎを切っていた。

玉ねぎのせいで沙由さんは目を何度もパチパチと瞬きさせている。

皮を剥き終わった慧莉は人参を一口サイズに切る。

肉を炒め、野菜を混ぜて、水を入れ、蓋をする。

「今日はカレーですか？」

「そうよ。辛口が良い？」

「はいっ！！」

慧莉は辛いのが大好きなのだ。


約30分後にジャガイモを入れ、その約20分後にルーを入れ、カレーは完成した。

慧莉が皿にご飯を盛り、沙由さんがカレーをかける。

そして二つの皿をテーブルに運ぶ。

「いただきます。」
「いただきます。」

二人はゆっくりと食べ始める。

「おいし………。」

思わず呟く慧莉に沙由さんは笑う。



食べ終わった二人は皿を流し台へ持っていく。


「お風呂入ってきなさい。」
「はい♪」

慧莉はタオルと着替えを持ってお風呂場へ向かった。