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結果的に私たち2人はバド部に入部することに決めた。中学の思い出と共にあのことがフラッシュバックしてきそうで怖いけど、「楽しみたい」と、改めてそう思った。

南のバド部の練習は案外ハードだ。私は元経験者でコートに入れてもらえることも多いけど月華は初心者だから先輩と一緒に基礎から教えて貰っていて大変そうだ。

バド部の女子1年のメンツは8人+マネ1人だ。私と月華、佐伯優海(さえきゆうみ)ちゃん、綾瀬小春(あやせこはる)ちゃん田村里桜(たむらりお)ちゃん、木南茉瑚(きなみまこ)ちゃん、町田芽依(まちだめい)ちゃん、結城鈴萌(ゆいしろ すずめ)ちゃん、マネの持田美夜心(もちだみやこ)ちゃん。こんな感じ。

大半は初心者で芽依と里桜と私が経験者。他の人たちは元テニス部だったり元帰宅部だったり様々だ。

帰りは茉瑚とミヤが同じ方面だから一緒に帰ることもある。一緒に帰るのは楽しい。初めてみんなが揃った時に「呼び捨てで呼ぼうよ!距離が縮まる気がする!」そう月華が言ったことで呼び捨てで呼ぶことになった。

無難に、明るく話すように努めている。それでも誰かと仲良くするのはどうにも不安で、「あのこと」が脳裏をよぎる。

思い出した時はしんどいけど、楽しい空間であることに間違いはないし、特にストレスを感じることも無く過ごしている。

「みゆう!帰ろ?」

「うん!」

ー一緒に帰ろう、そんな約束しなくても一緒に帰ることが当然になってる関係…懐かしいや。

天然だけどしっかり者の茉瑚とおっとり優しいミヤと話しながら帰るのはすごく楽しくて、少しずつ楽しめてることに前進したことを感じつつも罪悪感がじわじわと心を染めていた。