「メイクはこんな感じでいいかしら？」

キャサリンがそう言うと、「そうね……。あっ！」とエイミーが魔法をかけた。

「スミール！」

それは、人の表情を柔らかくする魔法だ。

「笑顔！とっても大切でしょ？」

エイミーが言い、キャサリンが「ありがとう」と微笑む。笑顔は人をつなげる誰にでも使える魔法だ。

「さあ、彼氏が待ってるわよ！」

エリカに背中を押され、キャサリンは「サバトで会えるといいわね」と笑う。そして部屋を後にした。

ハリーと待ち合わせした場所へと急ぐ。中庭にあるイチョウの木の下が待ち合わせ場所だ。

「あら、珍しい……」

ハリーはすでに待っていた。普段はキャサリンが先に来ることが多い。

ハリーは、秋色のウールニットに黒いスキニーという格好だ。そして落ち着きなく動き回っている。キャサリンはハリーを驚かそうと魔法をかけた。

「ヘルプスト！」

その刹那、ハリーが見上げていたイチョウの葉が一瞬にして赤く染まる。驚くハリーにキャサリンはクスクス笑いながら姿を見せた。