「まず最初の商品はこちら!!香港で捕らえた美しい人間です!!」

男性の言葉にキャサリンは耳を疑う。しかし、黒いフードをかぶった人物たちは盛り上がり、音楽が鳴り響いた。

ステージの下からゆっくりと大きな檻が現れ、キャサリンは「なんてこと……」と呟く。

檻の中には、手錠で手足を拘束された十二歳ごろとおぼしき少女が震えている。黒いフードをかぶった人物たちは歓声を上げ、我先にと少女を手に入れようとした。

「一万ユーロ!」

「いや、二万ユーロだそう!!」

「俺は三万ユーロを出す!!」

我先にと少女を買う金額を言っていく。震えていた少女は耐えられなくなったのか、その場で泣き始めた。

少女から魔力をキャサリンは感じていない。少女は完全な人間だ。闇の取引では、ペットを買う感覚で人間を攫ってくる者もいるとキャサリンは一度耳にしたことがある。

少女は十万ユーロで落札され、黒いフードをかぶった男性が「さて、お次の商品は……」とまた言い始める。