しばらくの間、心臓の音は落ち着かないし、身体の内側が変に熱いし。
先輩に触れられたからじゃない……、これはお風呂に入ってたから、だから身体が熱いだけ。
……そう何度も自分に言い聞かせた。
着替えをすませて、少し落ち着いてから先輩がいるであろうリビングへ。
早いところお風呂を借りたお礼を言って、自分の家に帰ろう。
きっと、1日たって寝てしまえば
今日あったことなんてすっかり忘れるだろうから。
首をブンブン横に振って、さっきまでの出来事をぜんぶ無かったことにして、リビングの扉を開けた。
「あ、あの……、お風呂ありがとうございました。こ、これで帰ります」
「ダメでしょ。髪まだ濡れてるのに」
「いや、これは帰ってから自分の家で乾かすので」
早く帰んないと、また変にドキドキしちゃうから。

