もうこれ以上、先輩のペースに巻き込まれたら
このままだったら確実に落ちてしまいそうになる単純な自分がすごく嫌。
からかわれてるだけなのに、色んな女の子にこんな甘いこと言って、甘いことしてるくせに……。
頭ではそれがわかっているはずなのに、心臓のバクバクは止まることを知らない。
「……食べたら怒る?」
甘い声で、甘くねだるような聞き方。
「食べちゃ……ダメ、です……っ」
まだ自分の中にきちんとした理性が残っていたことで、なんとか拒否できた。
頭の中で危険信号が点滅してた。
これで流されたらぜったい、いいことないって。
「……ふっ、ざんねん」
嘘つき……。
全然ざんねんそうに見えないもん。
「わ、わたし着替えてきます、から……」
ささっと先輩から距離を取って、部屋着が入った袋を持ってダッシュで脱衣所へ。

