こんなのぜったいおかしい。
おかしいはずなのに、先輩に甘いことをされると身体がいうことを聞いてくれない。
どうせ、わたしが好きだからこうやって触れてくるわけじゃないのに。
気まぐれで、自由で自分勝手。
性格に少し難があったとしても、誰もが羨むようなルックスの持ち主。
そんな人が、わたしみたいなのを本気で相手にするわけないし、こういうことだって色んな女の人としていそうだから……。
なんか少し……ほんの少しだけ胸のあたりがモヤッとした。
何も経験がないわたしと、
あきらかに経験豊富そうな先輩。
なんだかこの差が少し虚しく感じた。
……なんでだろう。
「へぇ……耳弱いの?」
「ち、ちがっ……」
「違うなら、もっと攻めていい?」
「っ……、ダメ、です」
精いっぱいの抵抗を表すように、先輩の瞳をジッと見つめた。

