「それより早く食べて支度してください!わたしはもう先に行きますから!」
朝起こしたし、ごはんも作ったし、
シャツも用意してあげたし。
これでわたしの役目は終わったので、そのまま出て行こうとしたら。
「俺のこと置いてくの?」
「だって、もう行かないと遅刻しちゃ━━━」
急にカーディガンの裾をつかんできて、
なんともいえない顔でこっちを見てくる。
「俺のことひとりにしないで」
うっ……ダメだって。
こんなふうに甘えてきて、甘やかしたらダメなのに。
……こういう人を放っておけないっていうか。
「うぅ……、わ、わかりましたから」
結局、先輩がごはんを食べ終えて、すべての支度を終えるまで待ってあげた。
そして、やっと学校に行けるかと思いきや。
「あっ、ネクタイ曲がってます」
「杞羽が直して」

