別に避けられてるわけじゃない…と思うけど、今までベッタリだった人が突然触れてこなくなったら、変だと思うじゃん。



だから、ちょこっと頑張って自分から寄って、先輩のパーカーの裾をギュッと握ってみる。


「……なーに」


「スマホばっかり……みてる、から」


めちゃくちゃかまってちゃん。
スマホなんか見てないで、わたしを見てよって言ってるようなもの。



「スマホ見ちゃダメなの?」


変だ、ぜったい変。
いつもの先輩なら「甘えてる杞羽かわいー」とか言ってかまってくれそうなのに。



「ダメじゃない……ですけど」


「……ふーん、そう」


手を握り返してもくれない、
こっちも見てくれない。


もう、いいもん……。
そっちがそういう態度なら、こっちだってもう知らないんだから……!


無言でソファから立ち上がって、1人で寝室に向かった。