「キスしかしてないんでしょ?」
「し、してない……」
「んじゃ、春瀬先輩は間違いなくフツーじゃないね」
「は、はい??」
「こんな可愛い杞羽と一緒に毎晩寝てて何の気も起こらないなんて」
「お、起ってもらったら困るし……!」
「なーに言ってんの。付き合ってもうすぐ半年経つんだから、それくらい覚悟しときなさいよ〜!」
か、覚悟って。
わたしにはそんな大人な世界わかんないもん。
いまだにキスについていくのにも必死なのに。
でも、沙耶の言うとおり、いつまでたってもキス止まりはおかしい…のかな。
ちょっと不安になった。
でも、今のわたしには気持ちの覚悟ができてなくて、まだもう少し先のことだと思っていたのに。
まさかこのあと、とんでもない事件が起こるなんて、このときは知らずに……。