先輩なら本気でやりかねないから、きちんと逃げないとここではさすがにまずい!
「……んじゃ、いつならいーの?」
「か、帰って……から」
「じゃあ、今すぐ帰る」
「ダメです、まだ来て数分しか経ってません」
先輩はいつもそうだけど、隙があればすぐ抱きついたりキスしたりしてくるから。
「……我慢とか苦手なんだけど」
「ダメです、我慢してください……っ」
「杞羽チャンは厳しいですね」
「先輩は自由すぎです」
こんな会話をしていたら、暁生先輩のお母さんが紅茶とクッキーを持ってこちらにやってきた。
なので、あわててちょこっとだけ先輩との距離を開けた。
たぶん、これが気に入らなかったのか、先輩のほうからちょこっとまた距離を詰めてくる。
うぅ、せっかく開けたのに。
それにソファについている手の上に、そっと手を重ねてくるから。

